山梨を代表する郷土食「ほうとう」とは?

ほうとうとは

ほうとうは、山梨県(甲斐国)を中心とした地域で作られる郷土料理です。

近年、知名度が上がってきたほうとうですが、そのきっかけとして二つ理由があります。

  1. 2007年に農林水産省により各地に伝わるふるさとの味の中から決める「農山漁村の郷土料理百選」の中の一つに選ばれています。
  2. 2013年に富士山が世界遺産に登録されて、海外の方も含めて富士吉田市や河口湖町に訪れるようになりました。

現在でも日常的な料理として多くの観光客や地元の人に愛されていますが、一般家庭で食べる頻度は年々下がっているようです。一般的に県外の人からは、鍋料理や鍋焼きうどんの様な体裁で食べられることが多く、「うどんの一種」「鍋料理」と認識される事が多いようです。

しかし、山梨県内では「ほうとう」はあくまで「ほうとう」であり、一般に言う「うどん」とは異なるものとして認識しています。

ほうとうと呼ばれるようになった由来や歴史とは?

ほうとうの由来

「ほうとう」には、さまざまな云われや歴史があります。諸説ありますが、有力な説として二つあります。

  1. 平安時代に、中国の使いである遣唐使が煮込んだうどん「餺飩」(ハクタク)という料理を伝えてくれました。ハクタクの音が転じて「ほうとう」に変わったという説があります。
  2. 戦国時代、山梨県は甲斐の国と呼ばれていました。武田信玄公が治めていましたが、武田信玄公が陣中食として自らの刀で、麺を細長く切ったことから“宝刀”(ホウトウ)の名が生まれたという説があります。

山梨県は大部分が産地でおおわれています。富士吉田市も富士山の麓に位置しているので標高が650m~850mの高原都市となっています。そのため水田が少なく、お米が育ちにくかったので小麦粉を用いた料理が好まれていました。

ほうとうとは

これまでお伝えした通りほうとうは昔から食生活の中心でした。昔は「ほうとうの麺を打てないと一人前でない」と言われ、特に女性の方は嫁入り修行の第一歩であったようです。郷土食としてこれほど普及しているものも少なく、「朝はおねり、昼は麦飯、夜はカボチャのほうとう」というのが長い間甲州農村の日常生活での標準型であったようです。

※おねり…ジャガイモやカボチャといった穀物にトオモロコシの粉に塩湯を入れてかき混ぜて、ねっとりと固まったところ食べる郷土食